楯岡高校跡地利活用計画

荻原 雅史

主要用途:高校改修
敷地面積:36,564㎡
延床面積:10,344㎡
構造:RC造、S造、木造
階数:3階

中西ひろむ建築設計事務所との協働提案

 

日本各地で目にするようになった廃校の地域拠点への転用が多く見られるようになってきました.これは山形県村山市の県立楯岡高等学校跡地の活用提案です.
学校は中高一貫教育開始にあたり、隣町へ移転.既存校舎は2016年に閉校となりました.2019年に活用提案のプロポーザルがおこなわれ、多様な利用者が集い、にぎわいの創出と経済効果を生む拠点となるような改修提案が求められました.
わたしたちの提案では、歴史をもつ地域に親しまれた講堂を保存しつつ、コミュニティ、コワーキング、オフィス、ゲストハウス、子どもの遊び場・スポーツなどの機能を校舎内にちりばめ、偶然の出会いに溢れ、あえて施設に行きたくなる多様性のある場を計画しました.

 

1階平面図

1階プランです.タコ足のように、それぞれの棟が距離を取って枝分かれし敷地の中でかなりの移動距離を伴うような既存平面をしていました.

そのことを逆に活かしながら、改修にあたって必要な用途変更の為のゾーニングをおこないました.主に美術館、集会場、事務所、宿泊施設、屋内運動場、用途変更せずにゾーニングをし、階毎、棟毎に用途を丁寧にあてはめています.

それぞれをつなぐエレベーターなどの増築部分はEXP.Jを設け、現行の構造基準に適合させ、設備配管スペースを増築する縦動線と合わせて確保する計画としました.

 

 

全体動線ダイアグラム

旧校舎は、いくつかの棟に分かれていて、建てられた時期がバラバラで、保存状態や残っているもの、床の高さなどもまちまちでした.そういった中で、動線の要となる部分にエレベーターを配置し、だれでも使える計画としました.
主要幹線である北側道路からは人の引き込みを、車の出入りができる西側道路からグラウンドを利用した駐車場の配置を計画しました.
この地域が多雪地帯で、冬の雪に埋もれた時期の除雪や動線確保などにも配慮を行う必要がありました.

 

改修後の講堂イメージ

街の人々に話を聞くと、敷地北側の幹線道路に面する旧講堂は100年以上の歴史があり、地元の多くの方がこの場所で卒業式などの行事をおこなった特別な建築だということが分かりました.講堂の脇の桜の木は、その花が咲くと地元に春の訪れを伝える地元のシンボルツリーでした.
提案にあたり、耐震性の問題等から解体される方向で話が進んでいましたが、現行の建築基準法に適合する形で耐震改修、用途変更をおこなうことにより旧講堂を遺せないか検討をおこないました.

 

講堂の構造補強計画

講堂の改修にあたっては「博物館その他これに類するもの」への用途変更を想定し、特殊建築物の外壁、耐火要件、採光、排煙設備、内装制限、用途地域制限などの建築基準法に適合するように計画をおこないました.客席面積200㎡以下に抑え、イベント時に講堂としての活用も可能な想定です.

耐震性の確保では、挟み込み柱と耐震壁、屋根面の構造用合板張り、RC基礎により構造補強を実施する計画としました.

 

出展者プロフィール

荻原雅史建築設計事務所

荻原 雅史

1978年 長野県生まれ
2002年 京都大学 工学部 建築学科 卒業
2004年 京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修了
2004年 高松伸建築設計事務所勤務
2008年 荻原雅史建築設計事務所設立

 

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