地域の資源を活かす構造デザイン

永井拓生+滋賀県立大学永井研究室

 

竹を間引いて明るくなった竹林・伐った竹を使って造ったバンブーハウス

 

間伐されず荒れた山林、放置され竹が生え放題の竹林、生長しても伐採されず繁茂し美観を損なったヨシ原・・・・

中山間地域で往々にして見られる光景です。

しかし、これらの材料は、使い方次第で地域生活をより楽しくする貴重な「資源」になりうると考えます。

遠出して有名観光地を巡るのは楽しいに違いありませんが、身近な地域に、居心地のいい、楽しい場所を作ってみるのもよいのではないでしょうか。私達は、地域の資源を活かした空間・場所づくりをお手伝いします。

 

ヨシドーム

ヨシは竹とよく似た性質をもった植物です。このヨシは、琵琶湖の湖岸で採れたものです。

1本1本は非常に細く折れやすいですが、茎はセルロース繊維が並行した組織構造を持っており、引張る力に対しては非常に高い強度を持っています(鋼鉄の1/3程度)。

ヨシドームは、数万本のヨシを手作業で結び合わせ、細かなトラス構造をドーム状に積み上げることで成り立っています。

地域の祭りやイベントに合わせて展示し、数万人のお客さんに空間を楽しんで頂きました。

 

(設計:白井宏昌+永井拓生+松岡拓公雄)

 

 

ヨシパビリオン

ヨシはイネ科の植物で、一見、ススキやカヤに似ています。しかし、琵琶湖のヨシは、1年で背丈が4m前後にまで成長します。これを毎年刈ることで、新たなヨシが生え、ヨシ原を美しく保つことができるのです。

美しく管理されたヨシ原は、垂直に生えるヨシが無限に広がるような、奥行きのある不思議な空間です。ヨシパビリオンは、街中で気軽にヨシ原に入ったような空間を、ヨシを使って人為的に再構築された空間となっています。

夜は、照明によって照らされた黄金色のヨシが風になびき、光のカーテンが揺れるような現象が現れます。

 

(設計:芦澤竜一+永井拓生+松岡拓公雄)

 

ヨシ空間@ハモニカ横丁

ヨシは1本1本は非常に細く弱いですが、微視的に見れば、非常に引張強度の高い維管束繊維が集まって茎を構成しています。ヨシボードは、ヨシを細かくチップ化し、高温高圧でプレスすることで、ボード状に固めたものです。

ヨシチップのサイズや、配向(チップの向きを制御すること)、接着剤の種類などによって、見た目や強度を、かなり自由に制御することができます。

建築家はオリジナリティのある素材、表層の表現にとても敏感で、常に新しいものを求めています。ヨシボードを使った、新たな建築空間、表層の表現を提案します。

 

(設計:JAMZA+永井拓生)

 

LVLブラケット木造ラーメン構造システム

木造ラーメン構造は、鉄筋コンクリートや鉄骨造と同じく、柱と梁の接合部を剛強に接合し一体化し、耐震性や耐風性を確保する構造です。梁間方向に壁(耐力壁)が必要なく、一体的な空間を広く確保できるのが利点です。

しかし、柱と梁の接合部には高い強度が必要となるため、ボルトや鉄板などを使った複雑な構造となる場合が多く、在来工法に比べ、工事費が大きくアップする要因となっています。

本システムは、木材同士の接合部シンプルにすることで、施工の手間を劇的に低減する工法です。都心の細長い敷地でも、間仕切りのない広々とした内部空間を実現することができます。

 

出展者プロフィール

永井拓生+滋賀県立大学永井研究室

1980年 山口県生まれ
2005年 早稲田大学大学院修士課程修了
2008年 早稲田大学大学院博士課程単位取得退学
2008年 永井構造計画事務所設立
2009年 Eurekaパートナー
2009年 東京大学準博士研究員(~2011年)
2011年 滋賀県立大学 助教
2019年 滋賀県立大学 講師

博士・一級建築士

 

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