(仮称)別府エリア再生計画

再生建築研究所

用途:①リゾートホテル(新築)+②ホテルアネックス(再生)+③住居+テナント(再生)+④テナント(再生)
敷地面積:3,019㎡(①)
建築面積:1,480㎡(①)
延床面積:9,299㎡(①)
構造:RC造、一部鉄骨造(①)
階数:地上14階(①)

 

 敷地は戦前から続く看板建築や木造建築群が立ち並ぶ日本有数の温泉街大分県別府市。増改築が繰り返される家々や花街の名残が残る通りなど雑多な雰囲気で覆われるこの街で、14階建ての高層リゾート計画(①)に伴う再生計画(②,③,④)を複合的に扱った別府エリア再生計画が進んでいる。
ホテルのクライアントは、新しいリゾートホテルが建つことで既存商店街やコミュニティが衰退していくのではなく、地域がより活性化していく在り方を模索していた。ホテルで夕食を提供しないプログラムに伴った周辺飲食店や空き家の再生計画を、リゾートホテルを起点に計画する。地域に開かれた拠点のように機能する建築とはどのようにあるべきか、複数のプロジェクトを絡めながら考えることがエリア再生の端緒となる。

 

■プロジェクト①リゾートホテル フレームによるスケールの横断

 屋上にインフィニティプールを設けつつ経済合理で作るためにメガフレームとしたRC造の高層棟に、柱(量)をフレーム(線)に置き換えた低層棟が取り巻くことで14階建ての高層棟をスケールダウンさせ、周辺地域と一体的なタウンスケープを作り出す。周囲の低層建築に呼応するスケールの格子が、ホテルの低層部を取り巻き、サイズや素材を変えながら地域に広がっていくことで別府の街とホテルを繋げていく。鉄骨格子の構造体を埋めるように同断面の木格子が配され、さらには周辺からサンプリングしたマテリアルを直截的なディテールで納めることで、雑多であるが豊かな「別府スケール」*1をホテル内外に表現することを目指した。 周囲の環境と呼応する要素を散りばめることで街と建築とが緩やかに、しかし確実に繋がっていく。

 

■プロジェクト①,② 建築的操作とスケールの横断

*1「別府スケール」とは周辺を観察していく中で見つけた独特のスケール感を内包するオブジェクトやマテリアルの使用方法のこと。計画地周辺には一見すると不明瞭な操作が加えられた建物やオブジェクトが多数存在する。そのようなものを「別府スケール」と呼称し特徴を抽出。線材、雑多性、周辺とのつながりの3つのデザインコードを参照しながら計画を行っている。
木造柱のような線材の利用で別府スケールに馴染ませる操作や、異なる素材感を掛け合わせることで生まれる雑多性を意識した操作、路地にはみ出たプランターのように周辺地域にはみ出るような感覚を持ち合わせる操作。これらの建築的な操作を加えることで、別府という街と分断されることなく広がりを持った空間をつくりだす。

 

■リサーチ 「別府スケール」オブジェクト・マテリアルの観察

 計画をするにあたり、周辺で使用されるマテリアルや別府スケールのオブジェクトを観察しマップ上にプロットする作業などを行った。
別府の雑多さやおおらかさはこれらのマテリアルや建物、オブジェクトに起因すると考えられ、街の特徴を構成する要素を丁寧に観察することが設計を行う上でも重要となる。トタンやポリカーボネート波板などを即興的に使い家々の壁面をパッチワーク状に構成したり、古い木造の上に積み木のように重ねられる増築部分があったりと、大らかな雑さと生活の風景が非常に近いことが分かる。土地にあるモノを観察することはその土地の生活風景を観察することと同義と言える。

 

■プロジェクト①+②+③+④ 周辺エリア再生

 また、このホテルの計画と合わせて隣接するホテルを再生する計画(②)や、周辺街区の低層建築の再生(③,④)も計画している。リゾートホテルだけにアクティビティが完結せず、滞在者が積極的に地域に繰り出せるようなエリア再生計画を同時的に設計していくことで街の活性化に寄与することが期待できる。
私たちが目指すのはあくまで点として終わる計画ではなく、点と点が繋がり線となるような計画だ。線が繋がればやがてそれは面となり新たな点を生む。私たちは今、持続的な街への関わり方を今一度エリア再生という視点から向き合っている。そしてそれは点を起点に線をつくることから始まっていく。

 

出展者プロフィール

株式会社 再生建築研究所

神本豊秋

1981年 大分県生まれ
2004年 近畿大学九州工学部建築学科 卒業
青木茂建築工房勤務(-2012)
建築の再生を多数手がける
2012年 神本豊秋建築設計事務所 設立
東京大学生産技術研究所
特任研究員として東京大学総合図書館の再生・研究を手がける
2015年 株式会社再生建築研究所 設立
2018年 ミナガワビレッジ運営

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