採集と展開

伊藤 孝仁

主要用途:集合住宅/屋台
敷地面積:約500㎡/-
建築面積:約300㎡/1.1㎡
構造:RC/合板、パイプ
階数:1F/-

 

JR中央線の吉祥駅-荻窪駅間の沿線には同じ鋭角を内包した敷地(通称ヘタ地)が点在している。農道を起源とする先行の都市骨格と、東西にまっすぐ伸びるJR中央線が衝突し2つの軸が重なっているため(fig1)、線路沿いを中心に470近くのヘタ地が存在し(fig2)、そこに建つ建築を観察するとユニークで多様な形をしている。
扱いづらい鋭角という「悩み」を共有し、それぞれの素朴な要求にあわせて応答することで、結果的に生じるアノニマスな多様性を観察し、その発見を応用することを試みる。

 

建築の標本

採集する:
471のヘタ地に建つ建築の形態的な振る舞いを観察し、特徴的な40の事例を抽出した。昆虫を採集して標本をつくるような手つきで、スケッチを作成しそれをモデルへと置き換えた。
ヘタ地の文脈から切り離された形は、非常に複雑な様相に感じられるが、眺めると全てに共通の形式が漂っている。

 

中央線沿いの集合住宅

展開1「集合住宅」
40のモデルをレイアウトし、中央線沿いのヘタ地に再統合した集合住宅への展開。モデルは敷地の形と相似形であり、孕んでいる2つの形式が隣接関係によってさまざまな呼応を生む。
建築を部品のように扱い、レイアウトの主眼は外部空間のシークエンスや奥行きにあてられる。

 

三角屋台

展開2「三角屋台」*
ヘタ地の鋭角部分の扱いづらさ故に、三角形の軒先空間を持て余しているケースも多く見受けられた。そこにピタリとはまる形の屋台があれば、使われていなかった場所の価値が反転すると考え、三角形の屋台を製作した。沿線の点在する未利用の三角形軒先を移動しながら、人と人が出会う活動の場へと変換する装置があることで、個人の個性が街に表出する機会が増えると考えた。

*tomito architecture として設計、製作

 

タ地に三角屋台が点在するイメージ

都市の幾何学的な歴史の変遷によって生まれる固有の形。それと結びついた屋台は、地形的な文脈を共有しない場所では使いづらいため、「地域限定」的ではある。しかし山車や神輿といった祭礼の装置と都市の形態はかつては密接に関係するものであった。
三角屋台によって、未利用であったヘタ地が人と人が出会う場所に、個性がまちに表出する場所へと生まれ変わる。

 

出展者プロフィール

AMP/PAM

伊藤 孝仁

 

1987年 杉並区生まれ
2010年 東京理科大学卒業
2012年 横浜国立大学大学院Y-GSA修了
2012年-2013年 乾久美子建築設計事務所
2014年-2020年 tomito architecture
2020年 AMP/PAM主宰
アーバンデザインセンター大宮
東京理科大学/千葉工業大学非常勤講師

 

© 2021 杉並建築展2020